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韓国企業との打ち合わせに通訳が入ることになった。これで言葉は任せられる、と資料を開いたら、会社紹介が十ページ、商品名が社内略称、聞きたいことは頭の中。……この状態では、通訳の人も何を訳せばよいか迷ってしまいます。
通訳付き商談で先に整えたいのは、難しい韓国語の暗記より「何の話を、何の資料で、どこまで決めたいか」です。会議中に訳してもらう内容を、事前に見つけられる形にする。短く話すための区切りと、数字を目で確かめる場所も用意しておきましょう。
この記事では韓国企業とのオンライン商談を想定し、通訳を依頼する範囲、渡す資料、話す順番、音声の準備を整理します。日本側が売り手か買い手かで質問は変わりますが、通訳へ説明の土台を渡す考え方は使えます。架空の雑貨商談を例にした準備方法であり、筆者の商談成功談や韓国企業全体の独自マナーを紹介する記事ではありません。
通訳に「言語」だけでなく、商談の目的と役割を伝える
通訳を探すとき、韓国語ができる人を手配すれば準備が済むと思いがちです。でも、企業紹介を訳すのか、商品仕様の質疑を訳すのか、専門用語の多い技術説明なのかで、必要な準備は変わります。まずは会議の目的を一文にしてください。
説明用の架空例なら、「韓国の雑貨メーカーに、ポーチの仕様とサンプル確認の進め方を尋ねたい」。ここでは注文を確定するのではなく、候補商品の条件を確かめる打ち合わせです。この一文があれば、通訳へ渡す資料や社内で同席してほしい担当者を選ぶ根拠になります。
JETROの2021年のオンライン商談セミナー報告でも、通訳が必要なら手配し、自社の情報を事前に伝えることが挙げられています。韓国限定のルールではなく、海外バイヤーとのやり取りを扱った説明です。通訳を「その場で初めて商品を見る人」にしない準備として参考にできます。
依頼時には、日時と所要時間、参加者の所属、使う言語、資料の量、商品分野、通訳の進め方を伝えます。録画や文字起こしの予定、資料を保存・共有する範囲があるなら、それも別に相談。料金や担当範囲は依頼先へ確かめ、通訳者が商談の判断や専門的な助言まで担うと決めつけないでください。
自分も韓国語の商談表現を学びたいなら、三修社の『シゴトの韓国語1 ベーシック』が補助候補です。出版社の目次にはオンラインミーティングや商品・サービスの説明の章があります。ただし、一定の語彙・文法力を前提とする教材で、ハングルを一から学ぶ入門書とは役割が違います。
学習用の例文を覚えることと、今回の商談資料を準備することは別です。時間が限られるなら、会話を全部自分で訳そうとせず、目的と資料を先にそろえる。通訳を使うことは、内容を考える役割まで手放すことではありません。
会社・商品・質問を、通訳がたどれる資料にまとめる
資料をたくさん渡せば、説明が詳しくなるとは限りません。表紙に商品写真、次のページに社内の品番、別のメールに質問。こう散らばっていたら、訳す前に情報の場所を探すことになります。先に、会社の概要、今回扱う商品、聞きたいことを分けましょう。
準備メモの一例は、会社と参加者の紹介、商品の特定、質問の順です。会社の紹介には、今回の話に関係する事業と、自分の担当を書きます。歴史や全事業を長く並べるより、誰がどの立場で質問するのかが分かる情報を優先。参加者の氏名は正式な表記を使い、肩書を推測して付けないようにします。
商品については、先方の商品ページの名称と品番を一組で残します。写真を使う場合は、掲載してよいものかも確かめてください。社内だけの愛称をそのまま書くと、通訳は先方の資料と照合できません。原語の名称を残し、日本語での呼び方は補助として横に置く形なら、どちらへ戻ればよいか分かります。
頭の中を整理する段階なら、マルマンのニーモシネN180Aのような横型A4の方眼ノートも候補です。メーカーでは片面の5mm方眼罫として案内しています。左に商品を特定する情報、右に質問を置く使い方は、本記事の整理案です。専用の商談様式が付いている製品ではありません。
たとえば、左側には「メーカーの品番」「商品ページのURL」「確認した日」、右側には「素材の確認」「サンプルの条件」「次の連絡先」。質問に対応する資料の場所が分かれば、会議中に別の商品を説明してしまう取り違えにも気づきやすくなります。
通訳へ渡す版ができたら、ファイル名と資料内の日付をそろえます。資料を更新した場合は、変更した箇所を短く伝えてください。同じ名前のファイルを何度も送り直すだけでは、どこが変わったか分かりません。社内用の利益計算や非公開情報まで、必要な商品資料とまとめて送らないことも大事です。
質問は「すべて知りたい」から一段絞ります。商品の全説明を求めるのではなく、写真から分からない素材、社内企画と照合したい寸法、次に現物を確認する方法など。相手へ渡す資料と、通訳の準備のためだけに渡す資料は分け、共有先を明記しましょう。
数字は単位と対象を付け、画面で同じ欄を見る
通訳がいるから、数字は口で言えば伝わる。そう思って「二百くらい」「小さいほう」「来月の終わり」を続けると、誰も同じ条件を見ていないまま話が進むことがあります。数字は韓国語へ訳す前に、日本語の説明でも対象と単位を付けたいところです。
架空のポーチ商談で「二百」と言った場合、二百個、二百箱、金額の二百では全く違います。ここでは説明用の希望数量を「200個」と書き、希望であって発注の確定ではないことを添える。数値自体が決まっていないなら、空欄を推測で埋めず「社内検討中」と残します。
寸法も、数字の組だけにしません。横、縦、厚みのどれなのか。外寸なのか内寸なのか。単位はmmかcmか。商品ページの図と照合し、分からない欄を質問として残します。「写真では小さく見えた」という印象と、仕様として載る寸法を一緒に扱わないことです。
こうした数字の整理では、前の章の横型ノートに、項目・現時点の値・確認先の三列を作れます。方眼を使って欄を分けるのは配置のため。計算が正しくなる機能や、翻訳を自動でしてくれる機能ではありません。すでに表計算や社内様式で管理できているなら、新しいノートを買わず、その形式を使えます。
会議中に数字が出たら、同じ資料の同じ欄を見てもらいます。「資料二ページ目、寸法の欄です」と場所を示し、今話している数字が掲載値なのか、自社の希望なのかも分けます。先方の回答が違っていたら、その場で二つの数字を並べ、どちらが今回の商品に当てはまるか尋ねる。勝手に平均したり、都合のよい値だけを採用したりしません。
期日についても、希望日、先方の見込み、双方で確認した日を分けます。日付は年を含めて示し、開始時刻には必要なら基準となる地域も添える。「すぐ」「早め」を訳してもらうだけでは、具体的な日程は決まりません。何をいつ確認できるかまで質問するほうが、次の動きが見えます。
聞き取れなかった数字は、その場で止めてよいところです。分かったふりでメモを完成させるより、「数量の単位をもう一度確認したい」と、分からない対象を狭めます。通訳には該当部分の言い直しをお願いし、自分側も元の資料へ戻る。通訳者の記憶だけを、条件の記録として頼らないようにしましょう。
一つ話したら訳す時間を残し、話す人を絞る
商品をしっかり説明したいほど、話が長くなります。背景、特徴、例外、質問を一息で続けて、最後に「お願いします」。通訳が訳す区切りを待つ間に、次の担当者が別の話を始める。こうなると、よい資料があっても進行が難しくなります。
JETROのオンライン商談資料は、通訳を使う際の時間配分、平易な言葉、短く話すことを挙げています。2020年の農林水産・食品分野の資料なので、現在の会議ソフトの操作説明や韓国固有の商習慣を示すものとしては使いません。ここでは発話の区切りを考える参考です。
会議の前に、説明する人、資料を操作する人、質問を記録する人を決めます。少人数なら一人が複数の役を持っても構いませんが、全員が同時に説明しない形を作りたい。通訳には、どの人のどの発言を訳す番なのかが分かる進行を相談します。
架空例なら、「今回はこの品番を検討しています」で一度止める。訳し終わってから「まず素材について二点質問があります」と進む。日本語の一文に、商品の背景と数量と納期を全部詰め込まず、今必要な要点を一つずつ渡します。ただし、一語ずつ切って意味が分からなくなるほど細かくする必要はありません。
自分でも会話を予習するなら、『シゴトの韓国語1 ベーシック』の目次から今回の場面に近い章を選ぶ方法があります。全章を商談前に終えるのではなく、オンライン会議と商品説明の学習を目的にする。目次・紹介を確認したうえでの候補であり、本書の全例文を読んで評価した紹介ではありません。
通訳を挟む打ち合わせでは、説明内容を減らす判断も必要です。予定時間に合わせて、今日回答が欲しい問いと、資料で後から確認する問いを分けます。自社紹介を長く話して質問時間がなくなるなら、紹介を短くして、今回の確認に時間を残す。全部を言うことより、相手の回答を受け取れることを優先しましょう。
相手が話している途中で分からない単語があっても、直ちに別の話題へ飛ばないようにします。話の区切りで、確認したい用語や数字を指し示す。訳を聴いた後に「その回答は希望数量の場合でしょうか」と対象を戻せば、言葉の聞き取りと、条件の理解を分けて確かめられます。
音声と画面共有を、当日の機器で短く練習する
通訳を依頼して資料も渡した。それでも音声が途切れると、肝心の回答を受け取れません。事前練習は機材を増やすためではなく、今回使う状態で聞こえるか確かめるために行います。会議当日に使うパソコン、場所、接続方法で、短く話してみましょう。
確認したいのは、自分が相手の声を聴けることと、自分の声が相手へ届くことの両方です。音量を上げたから送る声まで大きくなった、とは限りません。聞こえない場合は、選んだ入力機器、出力機器、ミュートの状態を分けて確認します。
USB接続の候補にはATH-102USBがあります。両耳のヘッドセットで、手元のコントローラーに音量調整とマイクミュートがあります。購入して商談した体験に基づく推薦ではありません。パソコンの接続端子、対応環境、すでにある機器で不足する点と比べるための一例です。
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取扱説明書では、本製品側の操作は接続先の機器側の音量やミュートとは連動しないと説明されています。本体のスイッチと会議ソフトの状態は、別々に確認してください。製品名の似たATH-102COMを、USB接続の同一機種として選ばないことも購入時のポイントです。
画面共有では、相手へ見せる資料だけを開き、社内情報や通知が見える範囲を確かめます。全画面を見せる必要があるか、資料のウィンドウだけでよいかは、使う会議ツールと社内の運用に合わせます。操作に迷ったまま本番へ入らないよう、資料を見せて閉じるところまで一度練習しましょう。
通訳へ渡した資料と、画面に出す資料の版が違わないかも見ます。修正した商品名を表示しながら、通訳は旧版の品番を見ている。そんなすれ違いを防ぐため、冒頭で資料名と版を短く伝えます。通信が途切れた場合の連絡方法も、会議とは別の場所へ控えておくと切り替え先ができます。
録画や自動文字起こしが使えても、無断で始める準備にはしません。参加者への説明、社内ルール、保存と共有の範囲を先に相談します。会議後の記録を詳しく残したい目的と、相手の音声を保存してよいかは別です。今回は手書きのメモで進める、という選択もできます。
まとめ|通訳へ渡すのは、今回の商談が分かる土台
韓国企業との通訳付き商談を準備するなら、最初に目的を一文へ絞りましょう。次に、会社・商品・質問の資料を分け、数字には単位と対象を付ける。会議中に訳してもらう内容が、事前にたどれる状態を作ります。
通訳へ言葉を任せても、自社の条件を決める人と、相手の回答を受け止める人は必要です。専門的な問いは担当者へ戻せるようにし、分からない数字や用語は、その場で一度止めて確かめる。聞き返す対象が狭ければ、会話全体をやり直さずに済みます。
当日は一つ説明したら訳す時間を残し、同じ資料の同じ欄を見ます。音声の練習には、すでにある機器を使って構いません。接続や手元のミュート操作に不足がある場合だけ、ヘッドセットなどを比較する順番にしてください。
打ち合わせの最後は、今日確認できたことと、まだ回答が必要な問いを短く分けます。提案を確定事項に変えず、誰が次に何を確認するかをそろえる。通訳者にも、締めの確認を訳す時間を残しておきましょう。
まず作るのは、立派な全社カタログより「今回の一商品と、聞きたい問い」が分かる資料です。その小さな土台があれば、通訳へお願いすることも、自分が話す順番も決めやすくなります。